戦艦大和が空母として建造されていたらこうなる
戦艦大和が計画されたマル3計画。
その内訳には大和型戦艦2隻と翔鶴型航空母艦2隻が含まれていた。
もし、この時、大和型戦艦を中止し航空母艦の追加建造を計画していてら、どのような艦になっていたか...。
1.秘密裏に変更される艦種
大和型戦艦の建造が厳重な機密の元で行われたことは有名な話だ。それでも、アメリカを始め諸外国には日本の巨大戦艦の建造を知られていた。
しかし、日本海軍は航空母艦の有用性にいち早く気づき、秘密裏に艦種を変更することになったのである。秘密裏に艦種を変更するため、艦名は大和と武蔵のままであった。
戦艦大和・武蔵は国家予算の3パーセントをかけて建造した国運を握る艦であり、設計時に機関の信頼性向上や重装甲を施したりと、十分すぎる程であった。この2隻の代わりに建造する空母であるから、それ相応の防御・最先端の技術が注ぎ込まれる世界最大の空母になるのであった。
3.大和存在の意義を引き継ぐ
戦艦大和がなぜ、あれだけの巨艦になったのか、それには理由がある。
仮想敵国アメリカの軍艦建造能力は強大であり、同じような艦を建造していては数で勝てない。
そこで、個艦優秀が求められた。
ちょうど、アメリカはパナマ運河幅33.53mの関係で、艦の幅を33mに抑えると考えられていた。戦艦大和はそれを超える38.9mの巨艦であり、そこに存在意義があった。勿論大きければ良いという訳でもなく、18インチの巨砲9門を搭載しながらも、速力27ノットを発揮し、十分な水中防御を持ち、ついでに全長も263mに抑えるということを達成している。
これは、空母でも同じ原理が応用できる。太い船体に広大な飛行甲板・格納庫を持ちながらも、十分な防御力を持つ空母。そこに、日本海軍の比較的大型で航続距離の長い艦載機を搭載すれば、アウトレンジ戦法のとれる優秀な艦が誕生する。
4.巨大空母の設計
機関配置を3列とした。
空母は艦載機を発艦させるため、艦の速力が特に求められる。このため、比較的細長い船体に大馬力を発生させるボイラーとタービンを縦長に積む。
しかし、これでは、機関室という、艦の急所が横から攻撃に晒されやすい。
翔鶴型と大和型の一般配置図を比べると分かりやすいが、翔鶴はボイラー8基とタービン4基を2列で並べているのに対し、大和はたっぷりある艦幅にボイラー12基とタービン4基を4列で並べている。しかも、大和は信頼性確保の為か、翔鶴と比較すると低圧のボイラーを使用するという、余裕の見せようである。
巨艦で高速を発揮するには、20万馬力程の馬力が欲しいところである。(大和型戦艦の初期案は20万馬力30ノット)その為には翔鶴と同等以上の高圧ボイラーを12基のせ、それに対応するタービンを4基載せたい。
しかし、艦幅を大和並にし、4列の機関配置にすると、造波抵抗が増え高速を発揮しにくい。そこで、翔鶴と大和の中間をとり、3列の機関配置とした。この、3列の機関配置は特異なものに思われるかもしれないが、元巡洋戦艦の赤城やビスマルク級戦艦でも採用されている方式である。
3列の機関配置を採用することによって、機関室の全長を抑え、空母の弱点である、エレベーターの下に機関室が来ないように配置することが出来る。
更には、艦幅(水線幅)を34mにし、高速性を損なわない船体形状を維持した。ちなみに後のミッドウェイ級航空母艦とほぼ同じ、艦幅である。(ミッドウェイの機関配置は戦艦モンタナ譲りの変わった配置。3列?)
サイドエレベーターを採用
後の大鳳や信濃では機関室上にくる中央エレベーターを廃している。しかし、大量の機体を迅速に発艦・収容するには、エレベーターを減らしたくはない。そこで、中央エレベーターを横に避けるという、工夫がなされた。構造的には、日本海軍の一般的なエレベーターをただ、横にずらしただけである。しかし、2層ある格納庫のうち、上段格納庫でしか、使えない。これは、下段格納庫まで、サイドエレベーターを付けた場合、海面までの高さが非常に低くなるからである。(海面から4mくらい)
2層の格納庫のうち下段を密閉、上段を解放式にした。
開放式のメリットは、格納庫面積を広く取れること、被爆時や誘爆時に爆風を逃がしやすいことである。
対して、密閉式では、予備浮力が得られ、乗組員の移住空間を側方に得られること、潮などから、艦載機を守れることなどがある。
そこで、下段を密閉し上段を開放式の格納庫とすることで、両方のメリットを得られるようになっている。下段の格納庫ではガソリンや弾薬の補給をできるだけ行わず、上段又は飛行甲板で行う。上段も夜間や悪天候時はシャッターなどで覆うという、措置をとる。
4.諸元
船体
全長:295.8m
幅54.6m
水線長:287m
水線幅:34m
基準62000トン
機関
4軸タービン4基ボイラー12基
200000馬力
速力
33.5ノット
航続距離
11000海里 18ノット
搭載機
零式艦上戦闘機40機
99式艦上戦闘機40機
97式艦上爆撃機40機
計120機
5.動画